走る喫茶室

以前は新しいレンズとかフィルムを導入すると、まず小田急線の開成付近で試してみることが多かったけれど、最近は「新兵器」を投入しても試写する間もなく実戦……という形が多くなってしまった。ほんとうは安定した天気の下で試写し、性能や性格をはっきりさせておきたいところなのだが、やりたいことが多すぎてなかなか叶わない。
このさき狭い場所や暗い場所での撮影が多くなると踏んで導入した新しいカメラも、デビューは曇り空の久留里線だった(久留里線については後ほど…)。性能は折り紙つきだったので何も心配していなかったが、実際に撮影してみると、大きなボケや豊かな階調表現は久しく使っていなかったリバーサルフィルムに通じるものがあると感じた。そしてなにより圧倒的ともいえる高感度域の安定度には、もう打ちのめされっぱなし。
予定した〔富士〕に乗るため九州まで行った後、小田急ロマンスカーVSE・MSEなどを撮りに、ひさしぶりに足柄平野に足を運んだ。

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デハ50001

  • 小田急小田原線 開成←栢山 2008-10
  • D700, AF-S VR Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G
  • ISO200-0.3, 1/320, f11

2005年に登場した50000形VSE (Vault Super Express。2006年鉄道友の会ブルーリボン賞)は、「小田急ロマンスカー」の再定義ともいうべき車両で、連接車(空気バネ制御による車体傾斜)・前面展望席・丸みのある大柄な車体に幅広の連続窓と、外観だけでも確固たる要素を持った車両だ。vault(ボールト)とは丸天井の意で、実際に客室天井が高くそして丸い。
VSEのアイボリーホワイトは本当に明るく、みごと晴れ上がったこの日は暗いほうのレンズで絞っても絞ってもハイライト警告が出てしまう。14bitのRAWが幸いして、ぎりぎり階調が保たれたようだ。

「ロマンスカー」の愛称はもともと京阪電気鉄道が元祖で(その他山陽電鉄, 京浜急行, etc.)……と主張する方もいらっしゃって、それもまあ否定できない事実だけれど、後発の小田急がロマンスカーブランドの代表たり得たのは、単に車両や客室にとどまらない総合的なサービスがあったからこそといえる。
いまでは短距離の気軽な利用が多い小田急の特急ロマンスカーだが、往時は新宿~小田原間無停車で、その間にウェイトレスが注文を取り、紅茶はじめ飲み物や軽食・デザートを自席まで運んでくれる「シートサービス」が行われていた。担当は日東紅茶と森永で、日東の「走る喫茶室」という愛称がロマンスカーとともに定着した。喫茶という言葉自体、最近使われることの少ない「昭和の言葉」かもしれないが、実際SE(前3000形)やNSE(3100形)の車内には昭和の雰囲気が色濃く漂っていたように思う。

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デハ50201

  • 小田急小田原線 新松田→渋沢 2008-10
  • D700, AF-S VR Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G
  • ISO200, 1/200, f10

私鉄特急の供食サービスも縮小気味で、小田急でも1990年代に2社が相次いで撤退、現在は〔(スーパー/メトロ)はこね〕〔あさぎり〕でワゴン車内販売を行っているが、VSEでは3・8号車の売店を基点にシートサービスを復活させた。
NSEの引退(1999年)までは、ほとんどの列車に車内販売が乗務していた。〔さがみ〕〔えのしま〕などあまり売れ行きもよくなかったと思われるが、ドアを手動扱いとするための保安要員としての意味もあったようだ。事実、SE・NSEでは本当に手動だったから。

この記事へのコメント

2008年10月21日 00:04
あ!「デハ」だ!
この間、「デ」は私鉄ではまだありますよ、って回答してくださってた、そのひとつですね

この車輌、横顔がスマートでピカピカの白がかっこいいです
関東の私鉄の車輌って、全くといっていいほど知らないので
こん電車が走ってるんだ~って、じーっと見てしまいました

土曜日桂川駅を見て宇治へ撮影に行き、その帰り、またチキに出会いました!
青森行き日本海を見て、雷鳥も見て帰ろうと待ってたときです
貨物がやってきて、あれ?次も機関車?重連だぁ~でもコンテナないな、、、って思ってたら、、レール!
わぁ!チキだ!って大慌てでうしろ姿を撮りましたが、どちらも暗くてブレてました。。。
下が白っぽくて上が青い、EF65みたいなのが2両でした
この前夏に見たときとほぼ同じ時間でした
teru
2008年10月21日 00:32
こんにちは。
真横からマジマジと見るのは、MIYAMOTOさんの写真が初めてです。新鮮に感じますね。それにしても、青いのや白いの、茶色に赤白、灰赤白に・・・アルミとか、たくさん種類がありますなぁ。
2008年10月21日 08:26
さくらねこさん おはようございます。

こちらが電動車のデハです。小田急のほか東急、京急、京王などでも使われています。
さて小田急を代表するVSEは、そのスマートな白い車体がまぶしいくらい。でも気をつけないとすぐ白トビしてしまうんですよ。なかなかに気を遣う車両です。
またこの他にもLSE,HiSE,RSE,EXEそしてなんと地下鉄へ直通するMSEとさまざまな特急車がやってきて、飽きさせません。

また先日もレールチキをご覧になったようですね。珍しいからついあわててしまう様子、私もよくわかります。ブレたり傾いたりなんていつものこと(笑)
2008年10月21日 08:28
teruさん おはようございます。

VSEは横から見ても特徴のあるスタイルですよね。
またこの規模でここまでバリエーションのある特急群もほかになく、しかもいずれもその時代を代表する車両ばかりです。
最近ご無沙汰でしたが、行くと時間を忘れてしまいます(笑)
teru
2008年10月21日 22:37
今月号も成果がありましたね!(いつの間に、四国、北陸に!)とうことで、次回?を楽しみにしております。

最近になって小田急の魅力を再認識しつつある今日この頃です。
2008年10月21日 23:34
わっ!ほんと!
今日、急行形の記事につられて買ってきました
いきなり最初に宮本さんのお名前が、、、
北陸も?・・・あ~あった!
ピシッときまったサイドビューですね♪
すごいな~
2008年10月23日 00:21
teruさん こんばんは。

四国はホラ、先日のあの土砂降りの日でしたね。北陸の一族はブルトレとか485系とかの合間に集めていました。ということでストックは増えているはずなんですが、時に以前撮ったのを忘れてしまったりもします(笑)
2008年10月23日 00:23
さくらねこさん こんばんは。

早速見つけていただけたとは恐縮であります。北陸の電車も地道な収集が結果につながったか、とはいえ当人、解説にある特徴など全然気にしておりませんでした(笑)
今月号には日記メモ帳もついていますね。2009年は機関車がいっぱい! 旅や取材のメモ書きによく使うので、ことし2008年版はもうボロボロに近いですが、なんか今度は使うのがもったいなくもあり……
さくらねこ
2008年10月23日 00:45
そうなのですよ、来年度の手帳もいいなーって思って買いました
そうそう、この本でこの間新幹線の窓から見た機関車がわかりました
広島駅近くに2両いた赤にオレンジの機関車、何かな-って思ってたのですが、EF67のようです
JR貨物広島車輌所の一般公開で、機関車たちがブルトレもどきのヘッドマークをつけてもらってるんですね
あー0系の旅、今週末にすればよかったかなー
2008年10月23日 00:46
こんばんは~

んっ!?
新兵器??

あらっ !!
D700を導入されたのですかっ!
いいな~ いいな~ …(笑)

白い被写体とはいえ白は白でも微妙に色があったりしてそこを表現させるのって難しいですよね。
もちろん露出には気を使いますが、ホント、VSEの微妙な白が見事に再現されていて素晴らしい出来になっているのではないでしょうか。

そういえば今年のダイアリー、今、初めて開いてみたのですが、ホントだ、機関車ばかりで使うのがもったいないかも(笑)。
2008年10月23日 22:59
さくらねこさん こんばんは。

おっ、EF67もしっかりチェックされているのですね。広島にだけいる、貨物列車の後押し専用機関車です。
なんか広島区公開のヘッドマークは最近悪ノリがすぎる気がしないでもないですが(笑)、ブルトレ全盛期をしのばせる光景ですね。
2008年10月23日 23:02
加藤さん こんばんは。

いやー、フルサイズに画面を広げてしまいました(笑) いいでしょ~? といいたいところですが、でも高いー! というか、引落し日の関係でまだ私の持ち物になってません(笑) ともあれこれからしっかり稼いで償却してもらわないと(何)

さて、仰るとおりひとくちに白といっても本当にいろいろな「白」がありまして、VSEの白は柔らかく、そして明るかったですね。一般車のアイボリーで事前テストして、コレでいいだろうと思ったらまだ飛んだ(笑) 再現像で露出をカットして、なんとか絶妙なトーンにおさまりました。そんな画ですがお褒めを頂き、ありがとうございます。
teru
2008年10月24日 00:36
あれれ、D700さんでしたか!。また、新幹線、撮りなおしでしょうか?また、是非、超高感度で、夜走る列車を流し撮りしてください!!!楽しみですなぁ。
2008年10月25日 21:04
どほも。

やっぱりそういう風にお考えですね(笑) 私自身も期待しているところ(?)なのであります。

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