走る変電所

いつごろからこの通称がついたのか定かでないが、モハ484という形式はまさに「走る変電所」と呼ぶにふさわしい。MM'ユニットのうち"484"という偶数形式で、3種類の電源(DC1,500V, AC20,000V60Hz, 50Hz)を取り入れて隣の奇数形式モハ485(主制御器を持つ。写真では左隣)に供給し、モーターはその制御器の支配下にある。つまりシステム的には隣のほうがエラいのだが、被写体としての魅力は圧倒的にこちらの方が上だと断言していい。主人を差し置いて鉄道博物館に収容展示されたのもこちらの形式だし。
最近ではかなりの貴重品となっている初期車0~100番台だが、現在もモハユニットが〔雷鳥〕各編成に組み込まれて、〔能登〕用モハ489/488ともども最後の活躍を見せている。

昨年(2007年)このモハ484サイドビューをRF誌「これプロ!」に送ったところ、ことしになってから掲載された。伊藤久巳カメラマンから「~あえてモハ484を被写体にしたことに、狙いの非凡さがうかがえる…」と過分な講評まで頂戴したが、いや本当はパノラマクロからモハ/サロ改造サハ、さらに583系に至るまであれこれ集めまくった題材(07年8月号向けですね)の一つに過ぎないのですけど……(一応コメントにもそう付記していた)。とはいえ、当時集めた485/583系の題材としては、構図・タイミングとも間違いなく「イチ押し」の一枚であった。

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モハ484-76

  • 北陸本線 丸岡←芦原温泉 2007-5
  • D200, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D
  • ISO125, 1/320, f5.6
  • RF2008-03-152

あらためて見てみると、この車両には本当の意味でスキがない。床下の変圧・整流器から屋上のAC20,000V対応の高圧機器、碍子の高台に載せられた2基のPS16パンタグラフ、キノコ型のキセが特徴的なAU12クーラー、それだけでは足りず客室部分まで使ったAU41クーラーの換気グリル……これが正調・国鉄特急色を身にまとって今日も走っているのだ。
西日本車には珍しく行先表示が国鉄形式を守っているし、かなり高めの位置にある窓を通して見える、タバコを持つ乗客の姿(この6号車は喫煙車である)にも、古きよき時代を感じずにはいられない。これだけ機器を満載しているのに、きちんとトイレ・洗面所を設置しているのが、いかにも国鉄らしい設計である。

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モハ484-313

  • 北陸本線 丸岡→芦原温泉 2007-5
  • D200, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D
  • ISO125, 1/250, f5.6

これが200番台以降になると印象はがらりと変わる。まず一番の違いは屋上のクーラーが集中式AU71になったこと。碍子で支えられていた1-2パンタ間の高圧引通し線が絶縁ケーブルになって屋根に張り付いた。床置クーラーもなくなって客室が広くなり、0番台ではわずかに車端へ寄っていたドアの位置が、他車と同じ場所に戻っている。

掲載後しばらくして富士フイルムVelvia100が送られてきた。さて、これはいつ使ったものか……。

この記事へのコメント

2008年10月15日 00:30
あ、雷鳥かな?
「雷鳥」国鉄色はしょっちゅう見かけますけど、真横から見ることってそういえばあんまりありません
1枚目の写真を見ていると、とっても端正な車輌だなーと思いました

京都ー大阪間は、「雷鳥」「北近畿」が国鉄色で毎日走ってます
たまには「文殊」や「きのさき」なんかも。。。
国鉄色が毎日見れるのは、贅沢な区間かもしれませんね
2008年10月15日 00:53
さくらねこさん こんばんは。

はい、これは〔雷鳥〕で走っているときの写真です。ちなみに場所は福井県、芦原温泉近く。
この頃の国鉄型車両には飾り気がほとんどないのですが、それだけに普遍的な美しさがあるように思います。
貴重な国鉄色〔雷鳥〕も、来年度から順次新型車へ置き換えられることになっていまして、なにげない光景もこれから次第に貴重になってくるものと思います。〔北近畿〕のほうはもうしばらく残りそう。
2008年10月16日 01:03
こんばんは~

あっ、どこかで見たことのあるお写真(笑)。
やはり電車でサイドビューとなるとパンタ付き車両ですよね。
私も781系のライラックがあった頃にサイドビューで撮ったことがあるのですが、そのときも「uシート」車のクモハ781ではなく、パンタの付いたクハ780を撮っていました。

それにしても485系の屋根上は「走る変電所」という表現がピッタリです。
北海道ではかつて1500番台が走っていましたが、その頃の私はまだ幼稚園ぐらいだったので薄っすらと覚えている程度。
今では函館まで3000番台が乗り入れてきますが、その出で立ちにはどうも違和感があったりして…。
そんな485系も国鉄色を堅持する車両はずいぶんと少なくなってしまいましたよね。
2008年10月16日 23:46
加藤さん こんばんは。
またしても手前味噌でございます~(笑)

やはり電車といえばパンタグラフ。先頭車の次に照準を合わせるのはどうしてもコレになります(笑)
そういえば781系のサイドビューを以前拝見いたしました。MTユニットとしてクハ・サハにパンタが載るという、国鉄では初めてのケースでしたね。現789-1000スーパーカムイも、パンタは中央のサハに1個で両側に電気を供給するという、これまた他にないスタイル。

そして国鉄色を残す特急も少なくなってきました。来年から〔雷鳥〕もついに置き換え開始。
一方で781系亡き後もなんとか頑張る485系1500番台の、最もオリジナルに近いクハ481-1508が国鉄色に戻ってるんですよね。あぁ、あれもはやく撮りに行かなきゃ…と思いつつ、なかなか果たせません。
さくらねこ
2008年10月19日 13:47
昨日18日は、東海道線桂川駅の開業日でした。
昨日今日と桂川駅に降りてみました。
毎日電車から見て期待していたとおり、向日町への回送線がばっちり見えま~す♪
ホームが大きくカーブしてるので、外側を通過する列車もきれいに見え、駅撮りのスポットになりますね
で、もしかして、こられてます?
2008年10月20日 00:34
さくらねこさん こんばんは。

週末は桂川駅開業、そして京阪中之島線開通とイベントが続きましたね。
私は中之島線のほうをメインに据えておりまして、というのもJRのみならずすべての鉄道路線を乗り尽くしてしまった(そのへんは本家に書いたり書かなかったり)ために、こうやって新線ができる度に乗りに行く宿命(?)にあるのです(笑)

で、それプラス「ネタ集め」ということで長岡京まで行きましたが、今回は桂川まで到達しませんでした。日を改めて訪れたいところです。

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