夢の彼方へ ~惜別〔まりも〕

ほぼ同時期に登場した781系電車(1978年)と183系気動車(1979年)は、互いに意識したのか前頭部の表情は対照的だ。どちらも着雪防止を図ったものとされるが、781系が「丸み」で構成されるのに対し、183系は「く」の字型前頭部に四角いライトケース・タイフォンシャッターと直線づくし。そのいかめしい姿は「スラントノーズ」と呼び親しまれるようになった。
スラント(slant)とは「斜めに」のほかに「(目の)つり上がった」という意味あいもある(俗語でもあるようでこれ以上詳しく書けません)。正面から見れば781系ともども切れ上がったアイラインが見て取れ、この点でもスラントな顔と呼べるだろう。

5月連休中のこの朝、上り〔まりも〕は両端とも0番台を小改造したキハ183-200番台だった。ほんとうは「ボウズ」とあだ名のついた改造先頭車キハ183-100番台も撮りたかったところだが、両端ボウズの編成はその日釧路側へ行っていた。スラントノーズも函館系統からは撤退ずみで、これで石勝・根室線からもいなくなってしまう。そういう意味では、千歳線でとらえたこの姿も貴重な記録ということかもしれない。これと2006年夏に大楽毛の湿原ポイントで撮ったのが、私の〔まりも〕走行写真のすべてとなる。

画像

キハ183-210

  • 千歳線 島松→北広島 2008-5
  • D200, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D
  • ISO160, 1/250, f4.5

〔まりも〕乗車は一度だけある。2004年冬、釧路からB寝台に乗り込み、まだ漆黒の中にある追分で下車。夕張支線、その前に廃止の決まった楓駅を訪れるのが目的だった。末期の同駅は早朝に1往復(休日運休)しか来ないダイヤで、札幌から列車で訪れることはできなくなっていた。
当時の「北海道フリーパス」グリーン車タイプは道内夜行に限りB寝台車も乗り放題だったので、夜行〔オホーツク〕や〔利尻〕と組み合わせて、寝ながらに宿泊代を浮かせた人も多いだろう。私もその2日前には〔オホーツク9号〕の寝台を取って、凍り付いた窓から暁を眺めたものだった。
現在、座席指定は普通/グリーンとも6列車までに制限されており、これで寝台利用も不可能となっては、このきっぷの価値も相当下がってしまうのではないだろうか。そのとき追分から新夕張まで戻るのに乗った列車も、いつの間にかダイヤから消えてしまったようだ。

最終運転は8月31日札幌発23:08、釧路発23:30。そして〔まりも〕は夢の彼方へ。

この記事へのコメント

2008年08月30日 00:36
こんばんは~

私のところでもスラント車を取り上げていますが、屋根の色の剥げているのを見てもしや?と確認してみたら私が追分で撮った「まりも」もキハ183-210でした。
以前は北海道の顔ともいえたスラント車も今ではずいぶんと少なくなってしまい定期ではオホーツクで見られるのみ。
当たり前にイラストマークを掲げて道内を隈なく走っていたのも過去のものなんですよね。
2008年08月30日 01:10
加藤さん こんばんは。アレは210号だったのですね。

それにしてもいつの間にかオリジナル183系の活躍場所も狭くなってしまい、さらに今般261系1000番台の増備車(車体のみ)が北海道へ向かっている模様、となると〔とかち〕残り1往復か、もしかすると〔オホーツク〕にも……という気がします。
そういえば、この車両は最高110km/hということでポリカ板がついてませんね。窓周りがすっきりしたこのタイプも減ってしまいました。
2008年09月02日 23:18
こんばんは。
先日は私のブログにコメントをくださり、ありがとうございました♪
sideviewという形で、鉄道を表現なさっているんですね。
全て流し撮りで一つ一つの車両を撮影されるのには、大変な集中力と根気が必要なのでしょうね。
私にはとても出来ないことなので、興味深く拝見させていただいております。

『まりも』はとうとう、歴史になってしまいましたね。
私はこれまで夜行列車には縁がありませんでした。
色々な方のブログにお邪魔するようになってから、
たくさんの方がそれぞれ別れを惜しむ想いを伺って、本当に残念なことと感じました。
この先、オホーツクもスラントで見られなくなるのでしょうか?
2008年09月03日 01:28
水無月さん ご訪問ならびにコメントありがとうございます。

集中力と根気が必要なのはこれに限った話ではございませんが、あれもこれもと気を遣いすぎて肝心の被写体写りが…なんてことも多数ですから、まだまだです。
一つ一つの車両を撮るという技法は確かに他の撮影とは異なりますが、でも今はデジタルで多数撮影でき、かつ確認もすぐできますから、けっこうお気楽な場面も多いんですよ。むしろその前に、車両を邪魔なく撮れる場所を探すのが大変であり、楽しみでもあるのです。

さて〔まりも〕が去ると同時にスラントノーズ車の活躍場所も〔オホーツク〕を残すのみ。このたび新車がまた増えるようですが、具体的にどこへ入るかはまだ発表されていません。いずれにせよスラント車はいちばん古い部類ですから、特急運用から外れる日も確実に近づいているといえましょう。

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