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みんなの「新幹線電車」ブログ


マドとデザイン

2016/03/01 00:00
旅客の利用する車両にほぼ確実に存在しているのは、いうまでもなく窓だ。大型ガラス製造の進化により眺望を求める車両は大胆に大きく、反面軽量化の要請により新幹線では面積が小さくなったりしてはいるものの、客席があればほぼ窓は存在する。またその窓の配置は、車体の塗装などのデザインと影響しあう要素と言える。
国鉄時代の車両では、食堂車―新幹線36形だとかスシ24等に見られるように、たとえ通路でしかなくても窓を設けるのが通例だったし、洗面所なども明かり取りとしてすりガラスの窓を設置するのはごく普通だった。いまでは改造設置も含め洗面所に窓は取り付けられなくなったし、そのほかにも今頃になって数が増え出した食堂車のキッチンとか、イベントスペースを設置する際に窓が大幅に埋められてしまうケースも多く、それはときに車体の印象をも変えてしまうことがある。

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521-7002

  • 山陽新幹線 姫路←西明石 2014-8
  • D810, AF-S NIKKOR 70-200mm F4G ED VR, ISO320


山陽新幹線で〔こだま〕として使用されている500系新幹線。300km/h運転はすでに不可能で、スピードでのフラッグシップトレインではなくなったが、その人気はいまだに衰える気配もなく、同系モチーフの公式キャラクター「カンセンジャー」は駅構内で放映されるマナー講座の主人公をつとめるなど、JR西日本の大事なコンテンツとして扱われている。その500系と、息の長い鉄道おもちゃである「プラレール」、プラレールには欠かせない電池「エボルタ」がコラボレーションし、2014年7月から「プラレールカー」が運転を開始した。
専用編成となったV2編成1号車の座席はすべて取り払われ、プラレールのジオラマや遊具などを設置したフリースペースとした。春・夏休み等などは非常に賑わいを見せた「プラレールこだま」は、当初2015年3月までの予定を半年延長したほどだった。V2編成はかつてW2編成として登場しており、先行製作車のW1編成とのすれ違い試験用として、運転台脇に設置された小窓が特徴である。

外から「プラレールカー」とわかる装飾は、出入口脇に貼られた「プラレール」のシールだけというもので、もうすこし大胆にしても良かったのでは……と思ったものだが、これに代わって登場した「500 TYPE EVA」は編成全体を装飾するという驚愕のデザインとなった。2015年の山陽新幹線開業40周年を記念して、「新幹線:エヴァンゲリオンプロジェクト」が始動、2015年11月から運行を開始した。アニメ界のマイルストーンのひとつといえる「新世紀エヴァンゲリオン」の放送開始から20周年という節目もあって、このコラボが実現した。

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521-7002 (500 TYPE EVA)

  • 山陽新幹線 姫路←西明石 2015-12
  • D810, AF-S NIKKOR 70-200mm F4G ED VR, ISO125

TYPE EVAは「プラレールカー」だったV2編成。「初号機」のイメージで塗装されているが、とりわけ1号車は客室窓まですべてデザインが覆いつくしているのが目を引く。個人的にこの作品にはほとんど興味は持たなかったのだけれど、旅客車なのに窓がまったくないという特異な姿はとらえる価値があると思い、「プラレール」時代と同じ〔こだま741号〕で西下するV2編成の姿を、同じ場所でとらえてみた。客室の窓は全部埋めたのに先頭部の小窓だけしっかり残してあるのは、プロトタイプとして通じあうからだろうか。
広告規制の絡み (参照) もあって、「TYPE EVA」以外に作品を明示するものはなにも存在しない (ということは「プラレール」の控えめな配置もそういう事情だったのか……)。しかしひとたび車内に入れば作品の世界観であふれていて、なかでも窓を覆った1号車は展示・体験ルームとして、事前予約した人のみが入室、コクピット搭乗体験ができるようになっている。なお公式サイトによれば、3月15日からは予約なしで入室は可能になるとのこと。

上越新幹線にこの春からデビューする世界最速美術館「現美新幹線」は、そのコンセプトもさながら、車両片側だけだが6両編成中4両が窓なしという、これまた思い切ったデザインとなる。大胆な塗装・ラッピングや窓配置の車両がひきも切らず登場し、車両そのものへの関心もつきることがない。
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EAST / WEST

2014/07/31 00:00
つの間にか北陸新幹線の金沢開業までひと冬を残すのみに。開業時には物議をかもした「長野行新幹線」という表現もいつしか「長野新幹線」に置き換わり、延伸後の呼称にまたひと悶着あったが「北陸新幹線(長野経由)」という形で落ち着きそうだ。
かつて〔あさひ〕と接続した速達特急の復活となる〔かがやき〕など4種の名称で走る北陸新幹線は、JR東日本・西日本の共同開発したE7系とW7系で走ることになる。E7系は2014年3月改正から長野新幹線〔あさま〕で先行デビューし、以降増備に従ってE2系を順次置き換えている。いっぽうW7系は白山総合車両所(金沢)に搬入され、新開業区間での試運転がこれから行われる。
えに記した通りW7系はE7系とと同仕様だが、各車の番台区分方法がまるきり異なり、たとえば両先頭車のE723形0番台, E714形0番台に対しW723形100番台, W714形500番台となるのが興味深い。車内もE7系と同じ見付で、一般の乗客が会社の違いに気づくことはないだろう。ちなみに路線としては上越妙高(現・脇野田) までJR東の所属であるが、乗務員は長野を境に担当を分けるという。

まや長野駅のホームにE7系が2編成並ぶ姿も珍しくない。そのE7系〔あさま〕グランクラスを体験。現在は東北新幹線の一部列車と同様に「シートのみ営業」となり、専任アテンダントのサービス (アルコールを含むフリードリンクと軽食の提供) は省略される。
長野五輪輸送で一時的に200系12連が入線したことはあるが、E7系導入に向け本格的に延長整備されたホームを進むと、「G」をシンボル化したマークの出入口に着いた。12号車グランクラスの形式はE714で、その車号あるいはきっぷの標記にもあるとおり制度上はグリーン車である。
ぐるような造形が目につくこのところの新幹線からすると、E7・W7前頭部の造形は素直なフォルムで、最高320km/hで風を切り拓くE5系と比べるとその差は際立つ。台車カバー、連結面の周回幌に車体間ダンパも省略されたのは、北陸新幹線 (現行開業区間の長野新幹線も含む) の最高速度が260km/hのためだが、大宮〜高崎間は現在でも最高240km/hなのでむしろ速いとも。なお東北新幹線ではE2・E3と同等の275km/hで走れる。

E714-5

E714-5

  • 上越新幹線 熊谷 2014-4
  • D700, AF Nikkor 18-35mm F3.5-4.5D, ISO200


でに東北路ではおなじみのグランクラスは編成長野方先頭12号車にあり、グリーン車にも隔てられているから (車内放送等でも普通車客の「立入りはご遠慮」いただいている) 喧騒とはほぼ無縁の空間になる。乗車口が階段から離れてしまうのが難点といえば難点だが。
グランクラスの座席定員と客室サイズはE5系と同じだから、ノーズが短くなってできた空間は付帯設備に回されている。具体的には前位側の扉 (JR東日本の新幹線は全車東京方が「前」だ)、それからグリーン車と共用する洗面所設備の一部である。11号車グリーン車は乗務員室が6号車へ移ったことも影響して定員が4名増え(E2比では+8名)、車端まで座席が並ぶ。
飾り柱の朱が目立つデッキから2-1列の室内に入り、E5とはメーカーが異なる革張りのシートに腰掛けた。電動リクライニングボタンを押すと座席はどんどん倒れていき、思わず笑ってしまう。背もたれ・座面・レッグレストは個別に調整も可能だ。航空機の上級クラス同様のバックシェルとピッチの余裕もあって座席の前は余裕たっぷり。
べるように発車した列車は善光寺平を抜けて長いトンネルへ。モーターなしということを差し引いても、室内への走行音は低く抑えられている。なにしろ壁の厚さが普通車・グリーン車の105mmに対し180mmも取られているのだ。そのスペースも活かして窓枠まわりは間接照明で演出されている。

E514-20

E514-20

  • 東北新幹線 那須塩原 2013-4
  • D700, AF Nikkor 18-35mm F3.5-4.5D, ISO400

ちゅう駅からの乗客を加えても車内は落ち着いていて、碓氷峠を降りて関東平野へ向かう。普通車の様子は知る由もないが、これまで8両だったのに比べればずいぶん余裕があるはずだ。
シートのみ営業サービスは文字どおりのあっさりしたもので、始発駅での「お迎え」もなければ、〔はやぶさ〕〔こまち〕〔はやて〕ならグリーン車でも行われるソフトドリンクのサービスも無し。フルサービスに比べれば安いといってもグリーン車よりはまだ高い座席、また使うか? と問われるとグリーン車でいいかな……というところだが、北陸まで伸びて本格サービスが開始してからのお楽しみということだ。いやその前に、東北新幹線のほうで一度は体験しておきたいところだが……。
もあれ乗り心地に座り心地は堪能できた試乗も東京終着、列車はさっそく折り返し整備に入る。ホームから眺めていると中でチカチカと光が点滅するのは、読書灯の点検も兼ねているのだろう。E5系でも見られるがグランクラス独特のシーンである。
かならず進行方向へセットされる座席は、整備にあわせ手回しで転換する。あまり知られていないが、E514の座席は2列席も含め向かい合わせにすることが可能だ。しかもほかの回転座席と違い、通路側を正面にして回していく。いっぽうE714は座面が後寄りで (E514の写真に見える背もたれが見えないところからもわかる) 、バックシェルが間柱の中央線をまたいでいることから、向かい合わせにするのは物理的に不可能なようだ。というわけで席は前方から順番に、こちらは窓側を正面に回転させていくのだった。
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開かずのマと開かずのマド

2013/12/07 00:00
2000年代の山陽新幹線、エース格はやはり500系だったが、並んで山陽区間を代表したのが700系7000番台「ひかりレールスター」。おなじ700系でも白い東海道新幹線とうってかわり、500系のイメージを踏襲したグレー濃淡に山吹色のアクセントカラーが鮮やかである。
山陽区間の利用ではいつも〔ひかり〕に乗っていたし、東海道方面への行き来でも新大阪や新神戸で〔ひかり〕を乗り継いだことは一度や二度ではなかった。「ひかりレールスター」は〔のぞみ〕通過待ちを原則行わず、最高速度も285km/hと遜色ない (むしろ300系の充当を考慮した臨時〔のぞみ〕のほうが低かったとも)。それなら山陽区間で〔のぞみ〕を選ぶ理由もない……と乗客誰しも思うわけで、当時のレールスターはいつも満席かそれに近い混み具合で、名前通り山陽新幹線のスターといえる存在だった。

723-7001

723-7001

  • 山陽新幹線 姫路←西明石 2011-5
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

山陽新幹線は航空機などとの競合が激しく、JR西日本では0系を2-2列化した「ウエストひかり」などで対抗してきたが、レールスターはそれにつづく車両として2000年に投入された。JR東海と共同開発した700系を8両に短縮した上で独自のインテリアを採用し、指定席には「サルーンシート」と呼ぶ横2列-2列の座席を配置、最高速度や所要時間はもとより、このゆとりこそがレールスター最大の武器であった。
客室最前列は壁テーブルを大型化しAC100Vコンセントを準備した「オフィスシート」、車内放送を行わない「サイレンスカー」、8号車には4人用の個室(全4室)など、さまざまなニーズにこたえた席を設定。みどりの窓口とJR西の指定席券売機「みどりの券売機」 ではそれらの指名買いも可能だった。ひじかけのはね上げが不可能なかわりに、8号車ではひじかけに載せるチャイルドクッションを貸し出すサービスも実施されていた。一部デッキには「旅指南」という、時刻検索やプリントアウトができる端末が設置された (2008年に廃止)。

そんなレールスターの栄光は2011年の九州新幹線全通で転機を迎える。新大阪〜鹿児島中央間直通〔さくら〕への置き換え、およびN700系との交代で、翌年には〔ひかり〕の運転自体がほとんどなくなったため、現在は500系7000番台とともに〔こだま〕の担当である。「ひかりレールスター」で設定されていた独自の指定席は全廃、8号車の個室も〔こだま〕では発売されず、のちに仕切扉は施錠された。
指定席は5・6号車 (500系はもとグリーン車の6号車) だが、需要喚起で発売開始した〔こだま〕指定席限定の格安切符が好調だそうで、一部列車は4号車も指定席で運用 (500系はことし10〜12月に4・5号車の座席を横4列化) している。とはいうものの、自由席まで混雑することの方が少ない「こだまレールスター」で7・8号車を選ばないのは損だ。そんなわけである朝レールスターの8号車、下り列車最後列に座って旅をはじめたのだが……
「あれ?」
席の後ろと個室の間には衝立があり、間がすこし空いている。壁をぴったり寄せてしまうと向きを反転した時に足の置き場がなくなるので、1列分を空けて荷物置き場と業務物置でスペースを埋めているのだ。そこに窓はついていないのはまあ自然なことだが、この車両を外から見ても窓間隔は開いていなかったはず。

724-7506

724-7506

  • 山陽新幹線 姫路→西明石 2013-3
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250

下車駅で外から眺めてみて (早朝だったため通過待ちが一度も無かった。〔こだま733号〕とはえらい違い!) ようやく理解できた。窓は等間隔で連続しているものの、一般席と個室の間にある1個 (右から5番目) はロールカーテンが下ろされていたのだ。客室側はパネルで隠されているので、このカーテンは決して開くことがない。一種の偽装窓、というと聞こえが悪いから疑似窓といえる。それにしてもあまりにも自然に並んでいるため、今の今まで気づかなかった……。
窓配置が0・3000番台と同じなのは構体を共有することと、個室を撤去し一般席へ戻すことを容易にするためと考えられる。個室部が一般客室と完全には仕切られていないのも、それを裏付けるものである。前述の通り個室はほとんど使用されないが、カーテンは開いていて車外からならその様子はうかがえる。ちなみに試運転列車とドクターイエローはカーテンを全閉状態にして走るのが通例。
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Passionate Stream

2013/07/07 00:00
これまでたくさんの車両側面を紹介してきた本ブログも6年目に入りました。その最初を飾る車両には、やはり"6"と縁のあるものを……ということで、2年連続ですが新幹線最新鋭車両のE6をご紹介。

秋田新幹線E6系は、400系から数えると7代目となるJR東日本の新型新幹線。形式の数字600番台ははじめてである。もともと600系は400系に続き東北新幹線の新型車両として使われる予定だったが、独自命名のE1系になったため欠番となり、今回ようやく埋まることになった。
JR東日本の新幹線高速化計画で開発された試験車両"FASTECH 360S"および"同 360Z"の成果は、それぞれE5系とこのE6系に反映された。E5系にくらべ量産先行車の製造が遅れたのは、暖冬の影響などで耐雪試験(とくに在来線)が遅れたためとされる。2013年3月のダイヤ改正で最高速度300km/hの〔スーパーこまち〕としてデビュー、2013年度中には現在E5系単独列車が到達している320km/hへ向上、E3系との交替も完了して愛称は〔こまち〕に戻る見込みだ。増備車の一部は在来線首都圏経由で甲種輸送 (兵庫→秋田) され、沿線に話題を振りまいたことも記憶に新しい。
ほぼ高架区間の東北新幹線とちがって地表を走るミニ新幹線である、このスタイルは絶対にそちらで撮らねば! と、雪解けのすんだ田沢湖線・奥羽本線へ向かった。前夜に車内体験をかねて、間合い運用のE5+E6系〔やまびこ〕仙台ゆきに乗車。12〜17号車は自由席で、E3系0番台のようなシートピッチの差異が無く (ただしE5系より60mm短い)、空いた車内でひととき新しい客室の感触を味わう。グリーン車は翌日利用する予定だった。

E611-4

E611-4

  • 田沢湖線 鑓見内←羽後四ツ屋 2013-4
  • D7100, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

複雑な曲面で構成される前頭部「アローライン」は、高速域でのトンネル微気圧波対策や自動分割併合装置の格納という制約も考慮して決定された。先頭から屋根が完全に立ち上がるまでのノーズ長さは13mでE5系 (14m) よりわずかに短いが、その天面に乗せられた「茜色」が鮮烈。登場時のイメージ広告「JAPAN RED」でもなまはげの面や竿灯、そして日本海の夕陽とつながって、秋田への新しい新幹線を印象づける。
そういったイメージから「赤い新幹線」とすり込まれたE6系だが、中間の赤は屋根面だけで、面積でいえば「飛雲ホワイト」のほうがずっと多い。すれ違う対向列車から見える茜色もごく一瞬なのだが、それでもすぐそれとわかるインパクトの強さはE6ならでは。
台車の軸間距離は直進安定性のため400系・E3系の軸距2,250mmからフル規格標準の2,500mmに拡大された。ただしブレーキ力強化のためN700Aでも採用されたボルト中央締結式ディスクブレーキや、新幹線・在来線区間用に2本用意されるヨーダンパなどは、E5系同様の防音カバーに覆われよく見えない。甲種時は外されていたが、そこで見えるのはそもそも1,067mm軌間の仮台車である。連結部はこちらもE5系と同じ構造の全周幌を設置。車体傾斜装置も備え、新幹線区間のみで使用される。
東京・秋田方先頭車である11号車グリーン車はE3系より1名少ない定員22。前頭部長さの影響を受けるため客室・出入り台のみ配置され、洗面所と乗務員室・車販準備室は隣の12号車に移動した。その12号車も車両半分近くが壁で中央寄りにドア、という独特の構造になった。

E621-3

E621-3

  • 奥羽本線 刈和野←神宮寺 2013-4
  • D7100, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO160

大曲方先頭車も11号車同様に客室スペースの制限をかぶるため、定員はE3系0番台の56から32へ大幅に減少、これを補うため中間車が1両増えて17号車になっている (ちなみに12号車も定員34)。電動車が1両単位で構成された5M2T編成で、編成両側が奇数形式という新幹線営業用車両では初のケースになった。

改正当初のダイヤでは運転時間が偏っており、ロケハンもしながらとなるとなかなか難しい。通過時間を読み違えて先頭車をうまく撮れなかったり、たまたま行われた試運転も撮り逃したり、あげくには最後に撮るつもりの秋田ゆきが線路支障 (人立ち入り) の影響で遅れて時間切れ、すこしがっかりしながら大曲駅に向かった。もうすこしストックを増やしておきたかったところだが、E3は先行製作車R1編成の〔こまち〕ラストランが予告されており、次回訪問の時期にはもうE3系のほうが貴重な存在になるだろうか。
遅れの影響で乗車した列車も15分程度延で大曲を発車、田沢湖線内の単線では回復も難しかったが、盛岡からフル規格新幹線に入れば見違えるような高速走行に。仙台でわずか約3分遅れまで詰め、大宮では所定時刻に戻っていた。
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Aはここにある

2013/06/15 00:00
東海道新幹線 品川駅23・24番線。2008年の全列車停車化以来、同駅は北に向かうときの大宮とともに私の定番乗車地となった。おきまりの自動放送のあと、ホームにすべり込んできた〔のぞみ〕の運転室窓には"G"の文字、そして1号車後部に大きなロゴ。N700A (G編成) だ。
N700Aは2月の営業開始からN700系Z編成と共通運用され、3月改正から山陽区間にも乗り入れているので、乗車列車に充当されるかどうかは運次第、逆に言えば〔こだま〕にも回ってくることがある。現時点ではまだ編成数も少ないので珍しい存在だが、やがては以前の300系・700系そしてN700系のように、日常の光景になっていくのだろう。

783-1003

783-1003

  • 東海道新幹線 小田原←新横浜 2013-2
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250
  • 拡大画像下側: 783-60

N700A (N700系1000番台) は東海道・山陽新幹線の主役となったN700系0・3000番台のマイナーチェンジで、700系の初期車を取り替える目的で増備を開始した。AはAdvanced (上級・高度な) を意味するという。
大きな変化点は足回りで、といっても最高速を上げるのではなくより確実に停止できることに注力された。具体的には、車輪と一体になっているディスクブレーキの締結ボルトがそれまでの内周 (車軸寄り) から踏面中央に変更され、ブレーキ力の強化により緊急停止の制動距離を短縮する効果があるという。(E5・E6系にも採用) そのほか台車振動検知システム、定速走行システムなどのこまかな改善が図られている。強い空気抵抗に打ち勝って高速運転する新幹線では走行中は力行を続けるが、従来そのノッチ操作はすべて運転士の判断によるものであった。定速走行は当分、ダイヤ乱れからの回復といった場面に活用される。
東海道・山陽新幹線では700系から車両ロゴマークが貼付されているが、N700Aのロゴは"Λ"の中央を「N700」が貫通する大型マークになった。またその貼り付け位置も0・3000番台では1・3・7・13・15号車東京寄り (洗面所部分) と11号車博多寄り (車販基地部分) だったものが、N700Aでは奇数号車の東京寄りへと拡大されている。

786-1703

786-1703

  • 東海道新幹線 小田原←新横浜 2013-2
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO250
  • 拡大画像下側: 786-3709 (JR西日本)

その他ほとんど「まさがいちがし」の範疇になるが、ヘッド/テールライトのカバー形状が変更されていることと、運転台へ伸びる「新幹線ブルー」ストライプの切れ込みが深くなっているところ、中間車屋上の高圧母線カバー形状の差 (7000・8000番台で変更された) ぐらいしかない。N700系というシステムの完成度が高かったことを示すものだろう。
インテリアでも変更点は少ない。グリーン車の配色と普通車の座席生地パターン変更があるが、普通席ではヘッドレスト(座席頭頂部両脇) が大型化されているところがとくに目につく (しかしながら外側からそれと確認できない窓のサイズがまたN700系ならでは……)。デッキ部では洗面所の照明がLED化され、減光機能の追加とあわせ消費電力を削減している。洗面台に近づくと照明がフワッと明るくなるので、従来車との差異に気づくところだ。

JR東海ではN700Aで導入された技術をN700系にフィードバックし、在籍80編成を順次改造することも発表した。改造後の車両はX編成、2000番台を名乗り (XもGも、かつて二階建て新幹線100系が使用していた)、N700マークの右下に小さい"A"が追加される。786形に車号2222が登場する一方で、777-7および-77が近い将来消滅することになる。
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LOVE特急こまち

2012/12/15 00:00
すこし旧聞になってしまうが、2013年3月改正でデビューする E6系による秋田新幹線の新列車名を〔スーパーこまち〕とすることが11月に発表された。従来愛称に「スーパー」を冠した上位名称も久しぶりといった感じで、また新幹線で正式な「スーパー」な列車を名乗るのははじめてのケースになる。来年2月には2年前にE5系で行ったような試乗会も実施される予定 (残念ながら大宮〜仙台間なので側面からは狙えないが……)
ダイヤ改正以降もE6系増備車が順次投入され、2013年度中には秋田直通列車が全編成E6系となる予定で、その際には愛称が〔こまち〕に戻るとのこと。その一方で、これまで〔こまち〕に活躍してきたE3系の扱いが注目される。

E311-8

E311-8

  • 田沢湖線 羽後長野←鑓見内 2008-11
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO250

ミニ新幹線・秋田直通 (田沢湖線・奥羽本線経由) 向けに開発されたE3系は1997年3月秋田新幹線〔こまち〕としてデビュー。最高速度は山形新幹線400系の240km/hから275km/hへ向上し、東北新幹線ではE2系または200系と併結。200系とは仙台で分割し、以北で単独運転をしていたが、E2系に統一されてから基本的に盛岡分割併合となる。5両編成で登場した開業当時、航空機パイロットが〔こまち〕に乗り換えるCMで話題になったが、山形新幹線同様すぐに1両増結され、東北新幹線の八戸開業で併結相手が〔はやて〕になったため〔こまち〕も全席指定となった。なおE6系は当初から7両編成となるが、これは前頭部の延長による客室スペースの減少を補うためである。
先行製作車であるR1編成 (もとS8編成) は400系ゆずりの丸みのある前頭部で、運転席頭上に4灯のシールドビームのほか、窓下にHIDランプを増設しており、正面からの判別は容易である。量産編成はすこし角がつき、灯具類も運転台窓下に統一された。第一次増備車には翌年 新14号車(E328)が13〜旧14号車間に挿入されたが、連結面をまたぐパンタカバーが搭載されていたため、E328-1〜16は両側にカバーが連続する独特の風貌になっている。

E328-5

E328-5

  • 田沢湖線 羽後長野←鑓見内 2008-11
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G, ISO250

「秋田」新幹線用と言いつつ、総数26編成となった (東京〜秋田の定期〔こまち〕は15往復) 現在のE3系0番台は仙台・盛岡までの〔はやて〕や〔やまびこ〕〔なすの〕にも使用されており、当初「こまち」ロゴの脇に書かれていた"Akita Shinkansen"の薄い文字が消された車両もある。朝夕通勤帯以外は山形往復に専念する1000・2000番台とは対照的だ。
東北ローカル扱いの〔やまびこ〕〔なすの〕に充当された場合、E3系は11号車グリーン車以外自由席となるからゆっくり座っていける (逆に混みそうな列車はE5またはE2系の指定席を選ぶことに……)。15・16号車はもともと自由席に設定されていたためシートピッチが910mmであり (指定席は980mm)、〔こまち〕が全車指定となった現在も変わっていないので、12〜14号車がおすすめ。
順番が前後したが、1000番台は〔つばさ〕の増発用に投入されたマイナーチェンジ車で、東北新幹線内の最高速度はE4系同等の240km/hに抑制されていた。400系を置き換える2000番台車は275km/h仕様で登場し、東北からのMax撤退を視野に入れた〔つばさ〕高速化 (E2系投入 2012年3月改正) にあわせ、1000番台ともども運転速度が275km/hに引き上げられている。
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上下と左右 -その1-

2012/08/25 00:00
二種以上の車両設備を兼ね備えた車両「合造車」についてはここで何度も取り上げたてきた。グリーン車の需要が1両に満たない程度のときに普通席と折半するのが一般的 (例1, 例2) だが、大量輸送のイメージが強い新幹線にもグリーン+普通の合造車が存在する。
東北・上越新幹線のオール二階建て車両 "Max" E1系は、12両編成の9〜11号車2階がグリーン席。12両編成で200系16両編成と同等の輸送力を確保していたが、のちに登場したE4系は8両編成。ミニ新幹線との併結や、需要に応じ2編成を併結するなど柔軟な運用が可能とした。
E4系のグリーン車は7・8 (または15・16) 号車の2階に配置される。2両でE2系グリーン車(E215形)同等の定員とし、以前は8号車が喫煙車であった。

E444-11

E444-11

  • 上越新幹線 熊谷 2012-5
  • D700, AF-S VR-Nikkor ED 24-120mm F3.5-5.6G, ISO250

仙台・新潟方先頭車でもあるE444形はグリーン席・普通席とも5列ずつしかなく、定員は両者 (18+25) で43名。定員重視の二階建て車両にしてはずいぶん少ないが、これはグリーン席に車椅子昇降機を備えているためでもある。東京方の先頭車 (E453形) は2階が横3-3の普通席であることも手伝って定員75とずっと多い。
最近の新幹線はトンネル微気圧波 (列車突入時に圧縮されたトンネル内の空気が出口で衝撃音を発生する) を抑えるため前頭部が複雑な曲面で構成され、ことに国内最速の320km/hをめざすE5・E6系はなおかつ「鼻」の長さが極端に長くなっている。E4系も同じ対策を採っているのだが、それが車両限界いっぱいの巨体へ一気に立ち上がるところが同系ならではの造形。前方から超望遠レンズで狙うと、壁が迫ってくるようにも感じる。

東海道新幹線は3両のグリーン車を連結した16両編成が300系以来続いている。需要が旺盛で外国人客も多く利用する日本の代表列車であったことから、0系時代から〔ひかり〕では2両の1等車→グリーン車が連結された。〔のぞみ〕〔ひかり〕では充分な供給であるが〔こだま〕で合計200席は持て余し気味で、格安の料金回数券や旅行商品「ぷらっとこだま」などで空席を埋める努力がなされている。それでもめったに満席にならないが……
いっぽう山陽区間では輸送量が急減し編成が短くなるため、〔こだま〕ではグリーン車がなくなった。さらに山陽〔ひかり〕向け700系7000番台 "RailStar" では指定席を2-2として、モノクラス編成としている。
九州新幹線も先行開業時に投入された800系はモノクラスであるが、全線開業・山陽新幹線との直通に向けて投入したN700系7000・8000番台にはグリーン車を連結することになった。とはいえ普通指定席がRailStarや800系なみの横2-2列 (自由席は3-2列) であることや需給の関係から、グリーン席は半室。東海道・山陽では100N系「グランドひかり」7・9・10号車がグリーン(2階)と普通(1階)で構成されていたが、それ以来のグリーン・普通合造車である。定員はグリーン24+普通36の合計60。

766-7011

766-7011

  • 山陽新幹線 姫路←西明石 2011-12
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO320

〔さくら〕は普通車指定席で十分と理解してはいるのだが、一回ぐらいグリーン車を試してみようか……と思った。しかし山陽〜九州をまたぐ利用では特急・グリーン料金が博多を境に別計算になるため金額が跳ね上がってしまう。すこし安めの九州グリーン料金も、博多〜熊本間が100kmを超えて100km以内の2倍 (\2,000)になるのが悩みどころ。結局「新幹線+高速バス」で福岡〜宮崎を短絡する〔B&Sみやざき〕の「2枚きっぷ」を使い、新八代〜博多で利用してみた。JR九州および北海道・四国では特急列車用の割引きっぷにグリーン料金券を追加して、グリーン車を利用することができる。
乗ってみると半室ということでコンパクトで落ち着いた空間であった。東海道区間のN700系座席と異なるのは室内の配色、座席に上下可動枕とレッグレストを備えていることと、シートヒーターが省略されていること。
一部の改造車を除く合造車は二種類の設備相違からくる外見上の違いが特徴的で、それは766形にも窓幅の違いという点でよく示されている。シートピッチは普通席1,040mmに対しグリーン席は1,160mm。10cmの差は数字以上に大きく、足元の余裕や前席背もたれが倒れていても圧迫感がないのはさすがというべき。
6号車に連結される同形にはサニタリー設備がない。しかもグリーン席は新大阪よりに位置するため、グリーン車の乗客が洗面所を使うには普通席を通って5号車まで行く必要がある。
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E for EAST

2012/07/07 00:00
つもいつも同じタイプの写真ばかりが載っている当サイトも、とうとう4周年を通過し5年目に入りました。これまでに取り上げた車両 (ごく 一部に 例外) は約490両、ちなみに今回は第240回となります。そんな今回は、Eastern Extreme Express の Experimental Exposureで……。

2012年はJR東日本の長距離輸送を支える東北・上越新幹線が相次いで節目を迎える年。1997年3月22日=秋田新幹線 (東京〜盛岡〜秋田) 1982年6月23日=東北新幹線 (大宮〜盛岡) 1992年7月1日=山形新幹線 (東京〜福島〜山形) 1997年10月1日=長野新幹線 (高崎〜長野) 1982年11月15日=上越新幹線 (大宮〜新潟) 2002年12月1日=東北新幹線 (盛岡〜八戸)。ほぼ5年おきに大きな開業が繰り返されてき

E223-1003

E223-1003

  • 東北新幹線 水沢江刺←北上 2012-6
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D+TC-14E, ISO400

ーハトーブの郷を走る〔SLイーハトーブいわて物語号〕〔SL銀河ドリーム号〕(D51 498) からの帰り、北上へ車を戻す道すがら立派なワーレントラス橋があった。ワーレントラスとは鉄鋼などの骨組みを△と▽の連続で組み合わせた構造の橋で、鉄道や道路の長大橋梁によく使われる。東北新幹線の橋梁といえば一ノ関駅北方に3,868mの長さを誇る第一北上川橋梁が有名だが、北上川を斜めに横切るこちらのトラスもなかなか立派なもの。いっぽう北陸(長野) 新幹線以降は、架橋技術の進化や景観調和により斜張橋あるいは斜版橋 (コンクリート斜張橋) といった個性的な橋も多く登場している。
まもなく上り〔やまびこ〕が北上を発車する時刻、まずは手持ちで撮ってみた。今回の狙いは、トラス橋を疾走する新幹線は横からどのように撮れるか? の確認で、本来なら昨年のE5系デビュー直後にやってみたはずのものだ。

次の列車は下りの〔こまち・はやて〕で、しかも〔はやて〕はE5系。〔はやぶさ〕の増便はまだないが、この時点で量産車9編成が営業中のE5系は〔はやて〕へ順次充当され、間合いで一部の〔やまびこ〕〔なすの〕でも運転されている。〔はやぶさ〕以外の列車は最高275km/h運転だが、それでも相当な速さであることは想像に難くない。露出がだんだん厳しくなるし、スピード感の演出にシャッター速度を1/60sとするため、こんどはきちんと三脚に据えた。
突然の風切り音とともにE3系のヘッドランプがあらわれ、瞬く間に撮影ポイントへ近づいた。約50km先にある盛岡までわずか15分。あとで計算してみたら仙台→盛岡(171.1km) を43分で走る〔はやて〕の平均速度は238.7km/hにも達している。
上越・長野よりも長距離な東北新幹線には高速化への要求も自然と高くなり。現在では275km/h以上で運転できる車両が大勢を占めている。上越新幹線まで視野を広げても、開業当初の200系はもちろんのこと E1系やE4系もすでに縮退期で、東北のE4系も仙台どまり。200系国鉄色K47編成は、特別装飾を施した「東北新幹線開業30周年記念号」でひさびさの東北路を踏みしめたけれど、つぎの機会はもうないんだろう……。

E514-10

E514-10

  • 東北新幹線 水沢江刺→北上 2012-6
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D+TC-14E, ISO400

ーパーグリーン車の仮称でE5系に連結されることが決まっていた新青森方の10号車は、正式名称「グランクラス」で〔はやぶさ〕とともにデビュー。横1-2配置 1,300mmピッチ6列という座席の定員は18人と、新幹線車両のなかでもことのほか少ない。先頭車の流線形前頭部が15mにも達し、車両のほぼ半分が運転室で占められてしまったことを逆に活用した形といえる。
〔はやぶさ〕以外では盛岡まで〔こまち〕E3系と連結して走行するが、注目したいのはその連結部。前面の造形が全然違い、E2系にくらべてもかなり急な立ち上がりであることに改めて気づかされる。これはE3系の車体断面がひとまわり小さいミニ新幹線 (在来線規格) であることが大きいようだが、環境面からはおそらく現在の速度が限界なのだろう。320km/h走行をめざす新・新在直通車のE6系はE5系の流れを汲むロングノーズとなり、定員を確保するため編成はE3系の6両から7両へ延長される。
……ということを考える余裕は、この時点であるはずもない。270km/h (75m/s) 以上で走行していると仮定すると、10号車通過から1号車までの時間は3秒しかない。急いで体勢を立て直さね!

E523-10

E523-10

  • 東北新幹線 水沢江刺→北上 2012-6
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D+TC-14E, ISO400

きわ(常盤) グリーン と称するメタリックな緑色は、同系を特徴づける要素のひとつ。壁の高い高架橋を走る姿は遠方からでもはっきり認識できるし、高速ですれ違う列車の中からも一瞬窓外が明るくなって気づく。他系列が上部に使う 飛雲(ひうん) ホワイト は、E5系では はやてピンクの帯をはさんで下側に回った。床下機器を着雪防止にカバーで覆うほか、騒音対策で新幹線営業車としては初めて台車もフルカバーされた。
東京方先頭車は2ヶ所の客用扉に洗面所も設置するため、シートピッチを1,040mmとするも10号車とおなじ6列の定員29にとどまり、普通車では半室ビュフェ車の237形 (廃形式。定員28) に近いこじんまりした空間となっている。
E5系は2012年度末 (次回のJRグループ改正だろう) に国内最高の320km/h運転を開始 (E6系もデビューし300km/h運転)。2015年度までに全59編成が増備され、E4系およびE2系を置き換えることになっている。その先の北海道新幹線も絡み、東北の新幹線はこれから世代交代の時期を迎えるのだっ
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ひかりの彼方

2012/03/16 00:00
1987年の夏、東京駅八重洲口コンコースにひとつの車両模型が展示された。東海道新幹線100系の次世代車両として開発が進められていた、仮称「スーパーひかり」の前頭部モックアップだった。
100系に似たとんがり鼻につづく車体はハイデッキ構造で、曲面ガラスの側窓から富士山や浜名湖の眺望を楽しめるものとされ、さらに客室先頭部は小田急RSEのような展望席という大胆なデザインだった。200km/h基準で引かれた東海道新幹線のダイヤは1986年から220km/hに引き上げられたが、折からの好景気と輸送の競合でさらなる高速化機運も高まり、この「スーパーひかり」で最高300km/h走行を目指していたという。

323-56

323-56

  • 東海道新幹線 新富士←三島 2012-3
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO400

私も実際に見学して、クーラーが不調なのかやたら暑かったのを憶えている。リニアのモックアップだったかもしれないが……。それはともかく実現したらすごい車両になるなと思ったけれど、やはりそこに至るまでのハードルは高すぎたようだ (現在N700系でも東海道は270km/hであることに注意)。結局これは幻の車両となり――それで果たせなかったコンセプトが〔あさぎり〕371系に反映されたともいえる――、方向を大修正して開発されたのが300系。アゴの突き出した前頭部、低い屋根、小さな窓、巨大なパンタカバー……モックアップとはまるきり正反対だった。
1990年に試作車9000番台が登場し、試験走行を経て量産車が1992年に最高速度270km/hの〔のぞみ〕(東京〜新大阪 2往復) としてデビュー。翌年から博多へ乗り入れ、毎時一本体制になった。そのころ東京から小倉まで乗ったことがある。高速走行の揺れは大きく、最初から最後までとにかく必死に走っている感じで、新関門トンネルを抜けて小倉へ降り立った頃には疲れてしまった。
そんな経験と、当時の〔のぞみ〕特急料金 (全車指定) がかなり高かったことから、100系がいる間はそちらを、その後は500・700系とくに山陽区間は RailStar を選んで乗るようになっていた。あるとき300系〔ひかり〕に乗ったら最高速度の違いなのか、後日受けた乗り心地改善工事の効果か、別の車両のように感じたものだ。

325-3708

325-3708

  • 東海道新幹線 小田原←新横浜 2012-3
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO400

100系で取り入れたサービスの新機軸、2階建てや個室・食堂そして大きな窓を捨てた300系の増備で、東海道新幹線は大量高速輸送に特化するという意識がはっきり見てとれた。変化はじつは100系から始まっていて、JR東海の増備車では2階建て食堂車がグリーン車の座席増に回され、かわりの供食設備として階下 (厨房だったところ) に「カフェテリア」を開設。0系などのビュフェより簡易な設備で、持ち帰り用に小分けした惣菜や軽食などを販売していた。
これが300系では7・11号車の「サービスコーナー」になる。車販基地 (画像左側) にミニカウンターを併設し、弁当・飲料やお土産品を購入できた。編成2ヶ所に置いたのは8〜10号車のグリーン車を普通席客が通り抜けないよう配慮したもので、東海道新幹線の開業初期あるいは151系特急〔こだま〕でもビュフェで一等車をはさんでいた。

786-725

786-725

  • 東海道新幹線 新富士←三島 2012-3
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO400

700系以降は自動販売機と車販準備室だけとなり、品川駅が開業した2003年10月改正で300系のカウンターも閉鎖されてしまった。乗車時間が短くなるほど席を立つ機会は少なくなるし、それに駅ナカ・駅チカの充実で乗車前になんでも買えてしまうから、車内で何か買うという動機付けにも乏しくなったのが新幹線旅行の現状だろう。どちらがどちらの因果かはっきり決められないが、サービスの面でも300系が舵を切った向きは現在の時流に沿ったものだといえる。

300系が採用した低重心軽量化の思想と、それを実現するための規格 (軸重11.3t以下、16両編成で1,323席の定員など) は、後継の700系・N700系にも受け継がれた。それらの試作車にさきがけ試用した新機構もあるし、逆に300系へフィードバックされた要素もある。当初大型カバーで覆われた下枠交差式パンタは試作車登場時は5基、量産車で3基搭載して後に1基を撤去、最終的には700系とほぼ同じシングルアームになった。
また同系は登場から引退の日まで全車が16両編成で組み換えも行わない、新幹線の営業車両として初めての例となる。MTMユニットという組成から編成の自由度が乏しく、さらに山陽〔ひかり〕の〔さくら〕化で700系 RailStar が〔こだま〕に回る現状では、300系を改造する必要もなかったからだ。JR西日本が製造した3000番台の代替には、JR東海から700系を移籍させることで対応する。

328-3018

328-3018

  • 東海道新幹線 小田原←新横浜 2012-3
  • D200, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

車両に対する思い入れは人それぞれ、私にとって300系が惜しむべき車両かと問われると難しいところだ。それでも、かつて表富士の撮影地を颯爽と飛ばした姿がしだいに遅くなり (新富士に停まるので)、その数が急激に減って、そして見られなくなるということに、時代の移ろいを感じずにはいられない。
1月終わりに乗った〔こだま〕豊橋→米原 (3000番台) が、私にとって300系の乗りおさめ。飯田線からの乗り継ぎ時間が短く、あわただしく特急券と駅弁を買ってホームに降りたところへ「鉄仮面」とも呼ばれるあの表情が近づいてきた。駅などでカメラを向ける人は多くなったが車内は空いており、M車車端で独特のインバータ励磁音を味わう。JR世代でありながら、客室設備とその造作を細かく観察すると、どこか国鉄の残り香を漂わせる車両でもあった。
関ヶ原〜湖東はめずらしく快晴。N700系だらけの今となっては金魚鉢といえるほど大きく感じる窓を額縁に、雪を抱いた伊吹山の姿がおさまった。
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みなみ風

2012/01/01 00:00
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。本年もどうぞよろしくお願いします。

昨年はいろんな意味で鉄道の意義を問われた一年だったろうか。東北の大動脈となり、そして大きな試練を受けた東北新幹線も、「つなげよう、日本。」をキーワードとして復旧が進められた。関係者の努力によって4月29日に全線が再開通し、9月の平常ダイヤ復帰で〔はやぶさ〕の300km/h運転も復活。各編成の先頭車には、「がんばろう日本」とともに大型ステッカーが現在も貼り付けられている。

782-8003

782-8003

  • 山陽新幹線 姫路→西明石 2011-5
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

2012年は山陽・九州新幹線〔さくら〕からはじめたい。瑞穂の国を代表する花であり、最初の特別急行列車にも使われた伝統ある名称が、〔みずほ〕と一緒に帰ってきた。
2011年3月12日のダイヤ改正で博多〜鹿児島中央間が全線開業した九州新幹線は、静かな滑り出しとなったが五月連休ごろから旅客数が回復し、「くまモン」が招く熊本はじめ南九州への需要を取り込みつつある。来る3月17日改正で〔さくら〕がさらに増強される予定だ。
山陽〜九州直通運転には、すでに東海道新幹線の主役となっているN700系をベースとした専用車が用意された (7000番台=JR西日本, 8000番台=JR九州。以下「さくら編成」)。基本性能は0・3000番台 (0=JR東海, 3000=JR西日本。以下「のぞみ編成」) に準じ最高運転速度も300km/h、輸送需給から8両編成に短縮したうえで九州区間にある35‰急勾配に対応するため全電動車となっている。

781-7006

781-7006

  • 山陽新幹線 姫路←西明石 2011-5
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

デザインは木村一男、水戸岡鋭治両氏 (それぞれJR西・九のデザイン顧問) の手による。青磁をイメージした白藍色の車体は東海道・山陽車のパールホワイトとは一味違う輝きで、光線によっても色合いが変わって見える。腰に巻いた藍色帯の上下には、金色の細線がさりげなく添えられている。車内も のぞみ編成とは異なる落ち着いたインテリアが特徴で、普通車指定席は700系7000番台 "RailStar" を受け継いだ、横2-2列というグリーン車なみの設備だ。
RailStarは全普通車であるがこちらは半室グリーン席が設けられ、レッグ・フットレストとAC電源設置でグレードを引き上げている (普通席は前後壁と窓側席にコンセントを用意)。車内でノートPCなどを使う人が増えて (かくいう私も昨年から使用し、時々車内に持ち込んでいる)、サービス電源は優等車両に欠かせなくなってきた。現在はスマホ・タブレットなどの高機能携帯機器が普及しつつある段階だから、そのうちUSB給電ポートが用意されるかも……。

783-3003

783-3003

  • 山陽新幹線 姫路←西明石 2011-5
  • D700, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D, ISO200

さて、ここで年頭いきなりの「まさがいちがし」でありますが、のぞみ編成と さくら編成の外見上の違いは?
色とロゴ以外で目立つところは、座席列が1つ少ないことだ。のぞみ編成では300・700系と全定員はもとより各車の座席配置も統一させているため、1・16号車はほかよりわずかにシートピッチが狭い (中間車の1,040mmに対し両車は1,023mm。もちろん回せる)。さらに戸袋との干渉を避けるため、運転室側の数列ぶんは窓だけ中央寄りにずらしている。対する さくら編成では普通車全席が1,040mmピッチとなり、窓のずれもない。
専門的なところでは台車の仕様が異なり、のぞみ編成はJR東海の標準仕様にあわせたが、さくら編成はJR西日本500系などでも使用する方法を採用した。車輪表面のディスクブレーキは新幹線ならではだが、その光り具合の差がわかるだろうか。全Mの さくら編成は当然台車もモーターつきで、その影も確認できる。

N700系7000・8000番台は、鉄道の国際デザインコンペであるブルネル賞 第11回最優秀賞を共同で受賞、2011年グッドデザイン金賞にも選出されている。またJR九州で展開した「祝! 九州」CMはカンヌ国際広告祭はじめ世界的な広告賞を受賞し、世間の評価も非常に高かった。改めて、鉄道の担う役割と影響度の大きさを感じるところである。
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タイトル 日 時
おおきな空
おおきな空 新在直通とかミニ新幹線といったキーワードを世に広めた「山形新幹線」の開業からことしで18年。新幹線とはいっても、福島から先の当該区間は従来の奥羽本線を改軌して新幹線電車が乗り入れられるようにしたもので、現在東北〜北海道・北陸そして九州で建設の進む整備新幹線とは成り立ちが異なる。 実際、奥羽本線に沿う形での新幹線計画も一応存在する (基本計画線) し、長野新幹線など整備新幹線でもミニ新幹線という案が出たくらいだが、山形・秋田新幹線はあくまでJR東日本の自社事業として行われたものだ。本来の新幹線と... ...続きを見る

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2010/04/15 23:30
新幹線のお医者さん
新幹線のお医者さん 鉄道に限らず、保守用車両や機械は使用される状況などから警戒色である黄色を身にまとうことが多い。ふだん本線上にいるのを見る機会は少ないけれど、駅などに留置された姿はよく目立つ。新幹線のそれらも例に漏れないが、その中で際立つ存在といえば新幹線電気軌道総合検測車・通称「ドクターイエロー」。その検測がと1月のある週末に行われるという情報が入ってきちゃったりするものだから、やむなく(?) 撮りに出た。 せっかく撮るのなら、やはりいい写真を…と思って表富士の超定番スポットに足を運べば、予想通り車と三脚の列... ...続きを見る

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2010/03/26 09:23
カワセミとフクロウ
カワセミとフクロウ パンタグラフ。電車に欠かせない部品のひとつで、道路標識「踏切あり」でもすぐにそれと連想させ、子供たちが描く「でんしゃ」の屋根に間違いなく乗っている、ひし形の物体。pantograph とはもともと製図部品、組み合わせた棒とリンクの働きによって原図を複写または拡大縮小する道具で、枠の動きがそれを連想させることからついた名前だ。 ...続きを見る

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2010/02/01 22:00
つばさによせて
つばさによせて 「つばさ」という名前は、私が最も好きな列車名称のひとつ。 いまでは古参ともいえる1961年生まれ、はじまりは上野〜秋田間を奥羽本線経由で運転開始した気動車特急(80系→181系)で、1975年に485系化された。東北新幹線の開業と同時に福島発着の連絡特急に転じたが、〔やまばと〕とあわせ3往復残った上野発着列車が〔あいづ〕とともに東北本線に彩りを添えていた。 1992年、〔つばさ〕は改軌した奥羽本線を山形まで直通する「山形新幹線」の列車愛称に選ばれる。東京〜福島間は〔やまびこ〕と手を携えて24... ...続きを見る

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2009/01/16 23:45
謹賀新年 2009
謹賀新年 2009 謹んで新春のお慶びを申し上げます。 定番ではございますが、2009年は新幹線と富士山の組み合わせからまいりましょう。 ...続きを見る

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2009/01/01 00:30
永遠の超特急
永遠の超特急 「ゼロけい」という、すこし不自然にも思える言葉がこれほど世間ひろく使われたこともないのではないか。1964年の東海道新幹線開業以来、代替わりはしたものの、実に44年間にわたって走り続けた新幹線電車0系がついに引退する。 ファンのみならず、一般の人々にとっても「夢の超特急」最後の花道は注目に値する話題のようで、なつかしいアイボリーに青帯の原塗色に戻って以降、人気ぶりはにわかに高まった。私が夏に〔こだま639号〕を追いかけた日も、ホームには老若男女問わずコンパクトデジカメやケータイをその鼻先に向け... ...続きを見る

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2008/11/30 00:00

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復活国鉄形蒸機!一刀両面 (鉄道ファン連載)

国内で活躍する動態保存国鉄蒸気機関車、16両(2014年10月現在)各機を両側からとらえたサイドビュー写真と、宮田寛之名誉編集長のみどころ解説でお送りするシリーズ。

2015年8月号では「番外編」と題し、このたび鉄道博物館に収蔵展示されたEF55形1号機を取り上げます。復活後は「ムーミン」とも呼ばれた、電機としては異例の前後非対称・流線形のボディを振り返ってみました。



当ブログの「蒸気機関車」各エントリもご覧ください。


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