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zoom RSS 秒速2635センチメートル

<<   作成日時 : 2016/03/16 00:00   >>

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すこし古びた駅のホームを緩やかに離れて田園地帯に出た115系電車は、MT54形モーターの唸りも高らかに北関東の平原を駆け抜けていく。足下からは、最近ではなかなか聞く機会のなくなった定尺レールのジョイント音が、軽快な三連符を奏でている。
時計の秒針を見ながら、その音を数えていく。1, 2, 3… 9秒間でおよそ9回、18秒で19回だから、速度は約95km/hというところか。運転席の速度計をのぞき見ると、針は確かに90と100のほぼ中間を指していた。

クハ115-1097

クハ115-1097

  • 両毛線 岩舟←大平下 2016-3
  • D7200, AF-S NIKKOR 70-200mm F4G ED VR, ISO200

東北本線小山から上越線新前橋までを結ぶ両毛線は、文字通り上野(こうずけ:←上毛野) と下野(しもつけ:←下毛野) にまたがる地域「両毛」を走る。線籍は東北本線の支線でありながら、高崎・上越線との結びつきのほうが強いためか、営業上は小山方面ゆきを下りと案内している。
東北本線(宇都宮線) から115系が撤退してもう随分経つが、両毛線はじめ高崎地区ではいまだ健在、どころか全車とも緑にオレンジの国鉄湘南色をまとい、カーブや勾配の少ない線路をのびのびと走る姿がいまだ日常のものである。東京近郊区間の外周部にあたることから、手軽に旅行気分を味わうことのできる路線だ (107系や211系運転の列車もあるのでご注意)。

ところで18秒で19回から速度が95km/hだと、どうしてすぐわかるのか? 両毛線の運転速度は最高95km/hだが、当然ながらそういう根拠ではない。ということでその計算方法をひもといてみよう。
9秒間に8回 (ボギー台車2軸の通過を1回と扱う) のジョイント音が聞こえたとする。定尺レールの長さは25m。まれに20mのレールだったり、左右レールのジョイントを互い違いに配置する区間もあるけれど、基本的に8回聞こえたら25×8=200m進んだことになる。いっぽう、9秒は1時間 (60×60=3600秒) の400分の1であるから、その長さを1時間分に引き延ばすと200×400=80,000mとなり、時速80kmとなる。そして自明だが80は8の10倍だ。
10回聞こえたら9秒間に250m進むから、1時間で250×400=100,000mで100km/h、そして100=10×10。18秒で19回なら9秒では9.5回、9.5×10で95km/h…という具合に、9秒間に聞こえたジョイント音の数 n がわかれば、列車が約(n×10)km/hで走っているとわかるわけだ。9秒が1時間の400分の1で、25mが1kmの40分の1という比率の比がこの速算の肝になっている。(数理的解法の例)
ならば90秒間で何回聞こえたか数えれば、1の位まで出せるのでは…と思う向きもあろう。しかし高速域での微妙な加速や惰行、途中に挿入される短いレールなどを考慮すると、1分半かけて数えたところで大した精度になりはしない。9秒か、せいぜい倍の18秒にとどめておいたほうが無難である。

クモハ115-1029

クモハ115-1029

  • 上越線 後閑←沼田 2015-11
  • D810, AF-S NIKKOR 70-200mm F4G ED VR, ISO100

小山から4駅目の岩舟は、アニメ映画「秒速5センチメートル」の舞台になった。残り少ない運転となった〔カシオペア〕の帰着からつぎの出発までに、両毛線の115系を見に行こうと思いたった理由は、つい先日この作品を観たからにほかならない。緻密に描写された作品の世界をたどっていくと、逆に現実が作品の写し絵であるかのようにも感じられる。物語の主人公・貴樹が転校していった幼なじみの明里に再会しようと向かった岩舟駅は、その由来となった岩船山の麓にある。石材の採掘で削られ異様な姿となった山肌は、作品で描写されていた形とすこし違うのだが、山体の一部が2011年3月に崩落したためという。
雪のために宇都宮線が遅れ、貴樹がようやく乗れた小山20:15発の列車は大雪でさらに遅れを増し、岩舟までの19.3km (営業キロ) に2時間も要することになった。平均秒速 268センチメートル。

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